やり残しができてしまった2月28日の桃園巡検。ということで、というわけでもなく小林先生は最初からそのつもりだったみたいですが、2012年3月2日(金)に二度目の桃園巡検(というか、調査かな)と行いました。
今回は、小林先生と私、それに通訳として来てくれたIさん(台湾師範大学に留学中の日本人女性)の3人です。9時半過ぎに台北駅を出発し、台鉄で桃園へ向かいます。台鉄には初乗車です!30分弱で桃園駅に到着。
駅からタクシーに乗って向かった先は、桃園農田水利会(地点A;最後に載せたGoogleマップと対応)。28日は台湾の休日だったため、この日の訪問となったのでした。まず、建物の大きさに驚く小林先生。たしかに、日本の水利会(水利組合)でこんな建物をもっているところはまずないですからね。・・・私は「ストリートビューで見たまんまだ」と思いました(笑)。
ただし、アポなしの訪問です。受付の女性がいろいろかけあってくれたところ、2階の部屋へ通されました。ジャンパーを着たおじさんが対応してくださるようです。小林先生がおずおずと目的を話し出して、インタビュー開始。
・・・・・・まあ、しゃべるしゃべる。小林先生が言うには、「言葉が通じるなら1日中でも話していたいぐらい」。12時を過ぎて、職員の方が「昼ごはんはいいのか?」と言いに来ても止まりません。内容はちょっと書けませんが(秘密なのではなく、とてもまとめられない)。
13時過ぎにようやく調査終了。名刺をいただくと、そこには「主任工程師」の肩書き。なんと、ジャンパーのおじさん、とても偉い方です。そんな徐さんに、長時間にわたって大変親切に対応していただきました。
1階に下りて、「では、ありがとうございました」と帰ろうとするも、なんだかあやしい雰囲気。まず、どこからともなく水利会の会長さんが登場し、みんなで記念撮影。そして、昼ごはんに行きましょう、と言う。いやいやいやいや、となんとか押しとどめようとするも、こういうとき、こちらの人は絶対引きません。そして、我々は知っています。こういう展開になると、必ず豪勢な料理をごちそうになってしまうことを。結局、徐さんと、どこからともなく自転車に乗って登場したおじさんとともに(さすがに会長さんは一緒ではなかった)、お昼をいただくことになりました。
案内されたのは、「上朋」という日本料理屋(地点B、ちなみに、日本で修業経験のある台湾人がやっているお店だそうです)。ここは高いやろう・・・と思いましたが、もう身をゆだねるしかありません。お刺身、天ぷら、お鍋など、昼ごはんとはとても思えないほどのごちそうをいただきました。そして、食べながらも、議論は続きます(あいだに入るIさんが大変)。気がつけば(っていうか、私はちらちら時計を見ていましたが)、15時(笑)。
ちなみに、自転車のおじさんは少し日本語が話せる愉快な人でした。キャップをかぶり、自転車に乗って去って行きました・・・。結局どういう人なのか(お名前も)聞かなかったなあ・・・。
徐さんともここでお別れ、ではなく、次の行き先まで案内してくださる様子。途中、桃園県の政府機関などが集まっている場所があり(地点C)、ここはため池を埋め立ててできたとのこと。また、桃園農田水利会のある場所も、もとはため池だったそうです。
そんな話を聞いているうちに、台湾土地改革陳列館に到着(地点D)。しかし、改装中か何かで休館中だったので、入ることはできませんでした。
むしろ私たちが必要としている資料はこっちにあるんじゃないか、ということで徐さんが入っていったのが、陳列館と隣接している国際土地政策研究訓練中心(地点E)。
ここで対応してくれたのが、メガネをかけてすらっとしている、おぎやはぎの小木のほうにちょっと似た感じのおじさん。結論からいえば、ここでもたいした成果はなかったのですが、このおじさん、なんだかんだで1時間近くも付き合ってくれたのでした。めちゃ親切!朗らかで感じの良い人だったなあ。
そうこうしているうちに、16時。台北に帰る前に、ここから遠くないところにあるため池を見にいきましょうということに。タクシーで行きますと言ったのですが・・・。水利会から車を出してもらい、徐さんとともに行くことになりました。車内にあったミネラルウォータのペットボトルをもらったり、親切を受けすぎです。
ため池に到着(地点F)。とても大きいです。魚もいました。犬と思われる頭蓋骨の一部もありました(ぞっ)。数年後にMRTがこのあたりまで延伸する計画があるそうで、そのころにはこのため池もなくなっているかもしれない、と徐さんはおっしゃっていました。
例によってGoogleマップではため池はみられませんが、通用版電子地図ではしっかりと表示されています。大きさがわかるでしょうか。
さて、この巡検のクライマックスです。「桃園巡検(その1)」で、みんなで雨の中探し回ったけれど見つからなかった場所。これを見ずして日本には帰れません(小林先生が)。いよいよこの目で見られるのです。車を走らせること10分足らず、あっさりとその場所に着きました。
桃園大圳のトンネル出口です!・・・ちょっと説明が必要ですね。桃園大圳は、石門水庫から取水した後、断層崖に沿って北東方向に水を送り、そこ(参考地点1)から台地に用水路のトンネルを通し、桃園県の北部、また、西部に水を供給しています。そのトンネルの出口がここ、というわけです。この用水路のトンネルは、1925年測図の2万5千分1地形図にも記載されています。
では、なぜ28日には発見できなかったか。地形図では郵便局(参考地点2)のすぐ近くに出口があるようにみえるということで、郵便局の前でバスを降りて探索を開始したのですが、Googleマップでみればわかるように、惜しいながらもちょっと離れてるんですね(ホテルに戻ってから確認して脱力しました)。しかも、バスの窓が曇って視界がきわめて悪かったというのも災いしました。そもそも、ストリートビューで4号線を南に下っていくとわかりますが、非常に気づきにくいです。
風車は教育用、と徐さんはおっしゃってましたが、しっかり回り機能しているようにみえました。ちなみに、毎年12月から1か月ほどかけて、水を止めてトンネルを点検するので、そのときは中を通れるとのこと。トンネルを歩くイベントもやっているそうです。そのころに来たら案内しますよ、と言われましたが、さてどうしましょう?(笑)
17時前に桃園駅まで送ってもらい、今度こそ本当に徐さんとお別れ。結局、ほとんど丸1日お世話になってしまいました。桃園でお会いした方々の親切さに感動しつつ、混雑する電車に揺られながら台北へと帰ったのでした。