土地利用メッシュや標高データなどのラスタデータは1次メッシュ単位で提供されている場合が多く、分析対象地域に合わせようとすると、複数のデータが必要だったり、あるいは、余計な部分が多すぎたりといったことがしばしば起こります。そうしたときに行うラスタデータの結合と切り抜き、そして、ついでにラスタデータの空間参照系変換について、今回は説明します。
(1) ラスタデータの結合
ここでは例として、大阪府域をカバーするメッシュコード5135・5235の土地利用細分メッシュデータを使用する。あらかじめ、2つのラスタデータ(GeoTIFFファイル)を同一フォルダに入れておく。この2つのファイルを開くと下図のようになる。わかりやすくするために、5235のみカラーで表示している。
QGISのメニューから、<ラスタ>→<その他>→<結合>を選択。<入力ファイル>の横の<選択>をクリックし、結合するラスタデータ(ここでは5135.tifと5235.tif)を選択して<オープン>をクリック。次に、<出力ファイル>の横の<選択>をクリックし、結合後のファイルを保存する場所とファイル名を指定して<保存>をクリック。続いて、<データが無い値>にチェックを入れる。数値は0のままでよい。そして、<OK>をクリック。
1つのラスタデータ(5135_5235.tif)に結合された。
(2) ラスタデータの切り抜き
大阪府域だけのラスタデータがほしい場合、大阪府の地図(シェープファイル)を型として、クッキーの生地を型抜きするようにラスタデータを切り抜きすることができる。
最初に、型抜きに使う地図と切り抜きたいラスタデータのファイルは同一フォルダに入れた上で、QGISで開く(保存されているフォルダが異なっているとうまくいかないようです)。
QGISのメニューから、<ラスタ>→<抽出>→<クリッパー>を選択。<入力ファイル(ラスタ)>で切り抜きたいラスタデータ(ここでは5135_5235.tif)を選択。<出力ファイル>の<選択>をクリックし、切り抜き(クリップ)後のファイルを保存する場所とファイル名を指定して<保存>をクリック。<データの無い値>にチェックを入れておく(数値は0のまま)。
そして、<クリッピングモード>において、まず<マスクレイヤ>を選択。次に、型抜きに使う地図(ここでは大阪府のシェープファイル)をマスクレイヤに指定。以上の設定ができたら、<OK>をクリック。
大阪府域でクリップされたラスタデータが作成された。
(3) ラスタデータの空間参照系変換
ここまで使用あるいは作成してきたラスタデータの空間参照系はJGD2000(世界測地系・緯度経度座標系、EPSG:4612)ですが、平面直角座標系など他の空間参照系の地図データと重ね合わせる場合は、空間参照系の変換を行い、新たなデータとして保存したほうがよいと思います。以下、その方法について。
QGISのレイヤ一覧に表示されている、空間参照系を変換したいラスタレイヤ(ここでは、(2)で作成した<osaka_pref>)の上で右クリック→<名前をつけて保存>を選択。<ラスタレイヤに名前をつけて保存する>ウィンドウが現れたら、まず<名前をつけて保存>の横の<参照>をクリックし、ファイルの保存場所とファイル名を指定。
次に、<CRS>の横の<変更する>をクリックし、変換後の空間参照系を指定して<OK>をクリック。ここでは、平面直角座標系第Ⅵ系(JGD2000 / Japan Plane Rectangular CS VI、EPSG:2448)を選択(当然、どの都道府県を対象にするかによって系番号が変わる)。
以上の設定ができたら、他の箇所はいじらずに、<OK>をクリック。QGIS上では特に何も起きないが、指定したフォルダに変換後のファイルが保存されているはずである。
今回はここまで。次回は、ラスタデータの再分類について。では、また。