[NA-GIS34]で書いた手順のようやく折り返し、今回は「5.バッファポリゴンを小地域単位(重なり合う小地域ポリゴンの大きさ)に分割」です。
これからの作業は、バッファ領域内の0~4歳人口を面積按分によって推計するために行うものです。面積按分の説明やこれを行う意味については、MANDARAとQGISを比較するかたちで、すでに[甲南GIS27]MANDARAによるバッファ分析の留意点で書きましたので、以下では技術的な点に絞って説明します。
QGISのメニューから<ベクタ>→<空間演算ツール>→<交差>と進むと、<交差>ウィンドウが開きます。次に、<入力ベクタレイヤ>はバッファポリゴン(今回の例では「保育施設500mバッファ」)を、<交差レイヤ>は小地域単位の地図(今回の例では「豊中市」)を選択。イメージとしては、クッキーの生地(豊中市の地図)をクッキーの型(バッファポリゴン)でくり抜くような感じです。<出力シェープファイル>の<ブラウズ>をクリックし、新たに作成するシェープファイルの保存場所とファイル名を指定します。
<OK>をクリックして少し待てばシェープファイルの作成が完了し、「TOCに新しいレイヤを追加しますか?」に対して<はい>を選択すれば、即座に分割されたバッファポリゴンが地図に追加されます。
上図の紫色で示されたポリゴンが、重なり合う小地域の単位で分割されたバッファポリゴンです。薄い黄色で示された500mバッファポリゴンとの対応関係をみればわかるように、豊中市からはみ出る部分についてはポリゴンが作成されていません(当然ですが)。
では、分割されたバッファポリゴンの属性テーブルをみてみましょう。
属性テーブルの0~11行目(0行目って変ですが、左端の行番号に従っています)には豊中市立旭丘保育所が並んでいますが、このことから、もとは1つであった旭丘保育所のバッファポリゴンが、重なり合う小地域によって12個に分割されたことがわかります。そして、各々のポリゴンは、分割前のバッファポリゴンがもっている属性(「NO」~「JUSHO」)と、重なり合う小地域がもっている属性(「AREA」以降)の両方を保持していることが見てとれます。これが、後の分析にかかわってくる、「交差」という手法の重要な特徴です。
なお、交差と似たような手法として「クリップ」があります。両者の違いは、クッキーの例えでいえば、交差によってできたポリゴンは型(くり抜く側)と生地(くり抜かれる側)の両方の属性を保持するのに対し、クリップによってできたポリゴンは生地の属性しか保持しません。この違いを理解し、手法を選択する必要があります。
では、今回はこのへんで。