今回は、前回の「地図データを開く/データ保存」の続きです。(検索などでこのページにたどり着いた方は、お手数ですが、まず「はじめに」をお読みください。)
・・・と、その前に、QGIS(に限らずGIS全般)について少しでも知っている人は、インストール後すぐに地図データを使いはじめるこの学習ノートを読んで、苦笑いを浮かべるかもしれません。もっと先にすべきことがあるだろう、と。でも、細かいことはすっ飛ばして、とりあえず使ってみようというコンセプトでしばらくいきますので、ご理解いただければ。(「細かいこと」の説明が面倒で先送りにしているという疑惑も。)
では、本題に入ります。前回保存したqgs形式のプロジェクトデータ(japan.qgs)を開いてみましょう。・・・えっ、開けないって?お前は不正を働いた悪徳野郎だと言われたって?(そんなこと言われません)まあ、そうなる原因はちゃんとあるのですが、それについてはまたおいおい説明するとして、うまく開けなかった人は最初からやり直してください(笑)。
今回やりたいのは、統計データに基づいて地域(市区町村)をランク分けした地図を作成することです。つまり、階級区分図(コロプレス・マップ)の作成です。今回は、別に統計データを用意するのではなく、地図データ(全国市区町村界データ)がもっている属性データを利用したいと思います。
ESRIジャパンの全国市区町村界データがもっている属性データについては、上記リンク先に記載されていますが、QGIS上でも確認してみましょう。左側にある<レイヤ>内の<japan_ver71>を選択状態にして、上部メニューの<レイヤ>→<属性テーブルのオープン>を選択すると、属性テーブルのウィンドウが開きます(下図)。
今回は、この中の<P_NUM>、すなわち、2010年国勢調査人口(速報集計値)を使います。なお、レイヤの上で右クリックすれば下図のようにメニューが表示されるので、その中の<属性テーブルを開く>を選択してもOKです。(というか、このやり方のほうが普通?)
市区町村のランク分けの前に、人口の最小値と最大値ぐらいは知っておきましょうか。属性テーブルの<P_NUM>の部分をクリックすれば、データを昇順にしたり降順にしたりできます。最小値は0人(所属未定地、これを除けば東京都青ヶ島村の201人が最小)、最大値は878,056人(東京都世田谷区)ですね。
では、ランク分けの作業に入ります。<レイヤ>→<プロパティ…>を選択(あるいは、レイヤ上で右クリック→<プロパティ>を選択)すると、<レイヤプロパティ>ウィンドウが開きます(下図)。
最初に、<凡例タイプ>のプルダウンメニューの中から<目盛付きシンボル>を選びます。次に、人口データを用いてランク分けするので、<分類フィールド>では<P_NUM>を選択。<モード>はそのまま<等間隔>にしておき、とりあえず6ランクに分けましょうかということで、<クラス数>を<6>に。そして、<分類>をクリックすると、下図のような状態になるはずです。
レンジが878,056のデータを6つに等間隔分類したので、878,056÷6=146,342.66…人ずつのランクができたわけですね。でも、これでは非常にわかりにくいし、そもそも人口を等間隔分類するのは不適切。というわけで、ランクの区分値と、あと色もカスタマイズしましょう。
各ランクの数字の部分をダブルクリックすると、ランクの下限/上限値を入力するウィンドウが出てくるので、それぞれ設定していきます。各ランクの色は、右側の<塗りつぶしオプション>で設定します。一例として、下図のように設定してみました。最下位ランクの下限を統計データの最小値に、最上位ランクの上限を統計データの最大値にします。
そして、<OK>を押すと・・・。
2010年国勢調査人口(速報値)の階級区分図ができました!
人口分布を可視化したところで、各市区町村の人口がどれくらいか知りたくなりますよね。そういうときは、上の図の赤丸で囲んだアイコンをクリックしてから、情報を知りたい自治体を選択します。赤い逆イタリア(のようなかたち)を選択してみると・・・。
大津市でした。大津市の人口は337,629人、そのほか、世帯数(H_NUM)や市区町村コード(JCODE)などがわかります。
最後に、上書き保存(<ファイル>→<プロジェクトを保存>、あるいは、フロッピーのアイコンをクリック)して、終了~。では、また。