今回は、もともとはお問い合わせに対する回答というかたちで書いたものです。お問い合わせしてきた方はある程度GISのスキルをもっている様子だったので、これまでのマニュアルのように操作手順をていねいに書くことはせず、要点を押さえながら全体の流れを重視して記述しています。ですので、GIS初心者にはわかりにくいかもしれません。こんなこともできるんだ、という参考程度に読んでみてください。
お問い合わせの内容は、MANDARAを用いて、竜巻発生地点からのバッファ領域に含まれる土地利用の分析を行いたいが、土地利用データがカテゴリデータであるため分析ができず困っている、というものでした。
たしかに、MANDARAのバッファ分析機能では、量的データの集計(合計値・平均値・標準偏差算出)はできますが、カテゴリデータの集計はできません。では、どうするか、ですが、カテゴリデータを数値データに変換すればよい、ということになります。より具体的には、カテゴリごとに0-1型のバイナリデータ(ダミー変数)を作成し、これを分析に利用します。たとえば、「森林ダミー」の場合、あるメッシュの土地利用が森林なら「1」、森林以外の土地利用なら「0」の値をとる、という具合ですね。
以下では、大阪府豊中市・池田市・吹田市・箕面市を対象とし、土地利用細分メッシュ(2009年)を利用して、各市役所の10kmバッファ領域における土地利用について集計してみたいと思います。なぜ市役所なのか?・・・ポイント数が4つで済むからです(^_^;)
なお、今回はお問い合わせに答えることが目的なので、細かい手順は省略します。今回の事例の技術的なことについては、次回以降に説明できれば・・・。
国土数値情報から入手できる土地利用細分メッシュデータは、もともとはメッシュコードと4桁の数字で表された土地利用データしかもっていません。4桁の数字では何の土地利用を表しているのかわかりにくいので、文字列型の土地利用カテゴリデータを追加したのが以下の表です。
この表にさらに、各カテゴリのバイナリデータ(ダミー変数)を追加します。今回は、「田ダミー」・「森林ダミー」・「建物用地ダミー」・「その他ダミー」の4つを追加しました。以下の表は、MANDARAに読み込めるように加工してあります。
途中のプロセスは省略しますが、必要なデータをMANDARAに読み込んでごにょごにょすれば、以下のような土地利用分布図を作成することができます。
では、バッファ分析をやってみましょう。以下のように設定して、各市役所の10kmバッファ領域に含まれる田・森林・建物用地・その他のメッシュ数を集計します。
バッファ分析によって、以下のような集計結果が得られました。
この結果をもとに、各市役所の10kmバッファ領域内の土地利用割合を計算すると、次のようになります。