今回は、[NA-GIS51]で作成した再分類後の土地利用細分メッシュデータを利用して、大阪府の市区町村ごとに土地利用データを集計してみたいと思います。
具体的には、大阪府市区町村別地図のベクタレイヤと、農地が1、それ以外の土地利用が0の2値どちらかをもつラスタレイヤ、この2枚を重ね合わせて、各市区町村の農地メッシュ数と農地メッシュ割合を集計します。より一般的にいえば、ベクタレイヤとラスタレイヤのオーバーレイによる地域統計について説明します。
(1) ツールの起動と実行
QGISのメニューから、<ラスタ>→<地域統計>→<地域統計>を選択。<ラスタレイヤ>は再分類後のレイヤを、<ポリゴンレイヤが含む地域>は集計単位とするベクタレイヤをそれぞれ選択。<出力カラムプレフィックス>とは何のことかわかりにくいが、集計後にできるデータ項目の接頭辞を指定できる(後ほど確認)。ここでは例として「agri_」と入力しておく。
<OK>をクリックすると計算が開始され、やがて完了する。
(2) 集計後のデータを確認
集計後のデータは、ベクタレイヤ(大阪府市区町村別地図)の属性データに格納されている。ベクタレイヤ上で右クリック→<属性データを開く>を選択。属性テーブルの右側に、新たに3列のデータが追加されていることがわかる。その3列は、「agri_」で始まる項目名となっている。
<agri_count>は、各市区町村の区域内に含まれる総メッシュ数(土地利用は区別しない)である。<agri_sum>は各市区町村の区域内に含まれるメッシュがもつ値の合計である。今回の場合、農地が1、その他が0なので、要は農地メッシュ数の合計ということになる。<agri_mean>は各市区町村の区域内に含まれるメッシュがもつ値の平均である。これは agri_sum/agri_count の式で求められるものなので、今回の場合は、農地メッシュの割合を示しているといえる。
少しだけ、具体的に結果を見てみよう。列の項目名をクリックすると、データを昇順/降順に並べ替えることができる。下図は、農地メッシュ割合の降順で並べ替えたもの。
これをみると、大阪府下では河南町が最も農地メッシュ割合が高く、その値は0.33333・・・(33%)である。次いで、太子町(30%)、田尻町(27%)、河南町・・・って、あれ、同一市区町村をマージしておくの忘れてた(^_^;) まあいいや、このまま続けます。
ところで、土地利用細分メッシュは100mメッシュのデータである(国土数値情報 土地利用細分メッシュデータの詳細を参照)。ということは、1メッシュの面積はおおよそ100a、すなわち1haということになる(おおよそ、と書いたのは、メッシュは正方形ではないため)。<agri_sum>の単位とhaと考えれば、各データは農地面積を示しているとみることもできる。
今回計算した市区町村ごとの農地面積や農地割合は『大阪府統計年鑑』などの統計を見れば簡単に入手できるデータですが、今回の方法を応用すれば、小地域単位やバッファポリゴン内の土地利用の集計もできるはずです。
今回はここまで。それでは、また。