今回は、既製データの読み込みではなく、自分自身で地道に作業して新たにシェープファイルを作成する方法について解説します。(QGIS 2.14.9を使用)
題材として、[NA-GIS100]でジオリファレンスを行った旧版地形図のラスタデータを利用し、この地形図において見られるため池や寺院などのシェープファイルを作成してみます。
・・・余談ですが、たとえばこの論文で似たようなことをやっています(作業の大半は、アルバイトの学生がやってくれましたが)。
(1) ポイントデータの作成
ここでは例として、神社・寺院をまとめて1つのシェープファイルとして作成してみましょう。属性データとして、「神社」か「寺院」のいずれかの値をとるカテゴリデータをもたせ、神社と寺院を区別できるようにします。
QGISのメニューの<レイヤ>から、<レイヤの作成>→<新規シェープファイルレイヤ>を選択。
<タイプ>は、<点>を選択。
空間参照系(<ファイルエンコーディング>の下)は、今回<JGD2000>(EPSG:4612)を選択。
<新規フィールド>のところでは、属性データのフィールド(列)の設定を行います。今回は、上で述べたように神社・寺院を区別するカテゴリデータのみを属性データにもたせます。もし神社・寺院の名称がわかっていれば、名称データのフィールドもつくるとよいと思います。
<名称>の欄には、<TYPE>と入力。
<タイプ>では、<テキストデータ>を選択(値が「神社」・「寺院」という文字列なので)。
<長さ>は、今回の値が「神社」・「寺院」と短いので、<20>ぐらいにしておく。
<フィールドリストに追加する>をクリックすると、下のフィールドリスト内に<TYPE>フィールドが追加された。
<OK>をクリックすると、シェープファイルの保存フォルダとファイル名を指定・入力する画面になる。適宜保存フォルダとファイル名を指定して(ここではファイル名を「shrine-temple」とする)、<保存>をクリック。
レイヤパネルに、作成したシェープファイルがレイヤとして追加された。
(2) ポイントデータの編集作業
レイヤパネル内の神社・寺院ポイントレイヤ(shrine-temple)を選択した上で、上部にある<編集モード切替>アイコン(鉛筆のアイコン)をクリック。
<編集モード切替>アイコンの近くにある<地物の追加>アイコンをクリック。
カーソルがスナイパーのスコープみたいになったら、ポイントの作成地点(今回は神社・寺院の地図記号があるところ)でクリック。
すると、属性データを入力する小さな画面が出てくる。<id>は、とりあえず入力順に連番をつけていくことにする。<TYPE>には、<神社>か<寺院>のいずれかを入力。
以下、同様の作業を繰り返す。そして、編集を終了するときは、<レイヤ編集内容の保存>アイコン(フロッピーのアイコン)をクリックし、確実に編集内容を保存した上で、<編集モード切替>アイコンをクリックして編集を終了する。
下の図は、神社・寺院ポイントの表示例です。
また、今回作成した神社・寺院ポイントの属性データを見てみると、編集中に入力した内容が反映されていることを確認できます。
(3) ポリゴンデータの作成
次の例として、ため池のポリゴンデータを作成してみます。
QGISのメニューの<レイヤ>から、<レイヤの作成>→<新規シェープファイルレイヤ>を選択。
<タイプ>は、<ポリゴン>を選択。
空間参照系(<ファイルエンコーディング>の下)は、今回<JGD2000>(EPSG:4612)を選択。
今回は特に新規フィールドは追加しないので、そのまま<OK>をクリック。シェープファイルの保存フォルダとファイル名を指定・入力する画面になるので、適宜保存フォルダとファイル名を指定して(ここではファイル名を「tameike」とする)、<保存>をクリック。
レイヤパネルに、作成したシェープファイルがレイヤとして追加された。
(4) ポリゴンデータの編集作業
ポリゴンデータは、ポイントデータと違って地物をトレースする必要があり、慎重かつ正確な作業が求められます。トレースする地物を十分に拡大した上で、編集作業を開始します。
レイヤパネル内のため池ポリゴンレイヤ(tameike)を選択した上で、上部にある<編集モード切替>アイコン(鉛筆のアイコン)をクリック。
<編集モード切替>アイコンの近くにある<地物の追加>アイコンをクリック。
スナイパーのスコープみたいなカーソルで、ため池をトレース。なめらかな線にしたい場合は、頂点をできるだけ多く取るとよい。
トレースが一周し、始点まで戻ったところで右クリック。すると、属性データを入力する画面が出てくる(といっても、今回は<id>だけ)。
以下、同様の作業を繰り返す。そして、編集を終了するときは、<レイヤ編集内容の保存>アイコン(フロッピーのアイコン)をクリックし、確実に編集内容を保存した上で、<編集モード切替>アイコンをクリックして編集を終了する。
このようにして、地道にため池をトレースしていけば、ため池のポリゴンデータを整備していくことができます。
今回の作業はここまで。プロジェクトの上書き保存を忘れずに。