前回の[NA-GIS83]では、町丁目・字単位の人口を用いてバッファ分析を行い、コンビニの300m圏内の人口を推計しました。今回は、4次メッシュ(500mメッシュ)の人口を用いて同じような分析を行い、前回と今回の結果を比較します。
(1) 地図データの作成
[NA-GIS75]で作成した地図データ(コンビニポイント+町丁目・字単位の地図)を利用して、今回必要な地図データを作成します。
MANDARAのマップエディタで、<ファイル>→<地図ファイル読み込み>と進み、[NA-GIS75]で作成した地図データ(東灘区・灘区コンビニ.mpf)を開く。
<編集>→<メッシュオブジェクトの作成>と進み、<メッシュの種類>で<1/2メッシュ>を選択し、<作成>をクリック。メッシュオブジェクトが作成された。
<ファイル>→<名前を付けて地図ファイル保存>と進み、上書きしないように別のファイル名をつけて(例:「東灘区・灘区コンビニメッシュ」)保存する。保存が完了したら、マップエディタを終了する。
(2) MANDARAファイルの作成
[NA-GIS76]の手順(1)・(2)と同じように進め(途中、地図ファイルを指定するところでは、上記(1)で作成した「東灘区・灘区コンビニメッシュ.mpf」を指定すること)、MANDARAファイルを作成・保存する。ファイル名は任意だが、ここでは「東灘区・灘区コンビニメッシュ」としておく。
(3) 500mメッシュ人口の読み込み
[NA-GIS79]の手順(2)・(3)と同様に、500mメッシュ人口のデータを入手し、MANDARAに読み込めるように加工する。その際、「MAP」タグの横のセルに入力する地図ファイル名を「東灘区・灘区コンビニメッシュ」とする。
Excelのデータ入力範囲をすべて選択し、コピー。(12000行以上あってマウスを使って選択するのは大変。キーボードの[Ctrl]+[A]を押せば、データの全範囲を選択できる。)
MANDARAの<ファイル>→<データ挿入>→<クリップボードからデータ挿入>を選択。
地図ファイルが見つからないといわれるので、<地理と情報>→<MANDARA>→<Map>フォルダに保存されている「東灘区・灘区コンビニメッシュ.mpf」を指定して<開く>をクリック。データの読み込みが開始される(コンピュータのスペックによってはかなり時間がかかるが、我慢強く待つ)。
データの読み込みが完了すると<データに問題があります>ウィンドウが出てくるが、気にせずに<OK>をクリック。ここでいったん上書き保存。
正常にデータが読み込まれれば、<対象レイヤ>のプルダウンメニューが新たに現れる。
また、属性データを開くと、レイヤのタブが2つできており、それぞれコンビニの属性データと500mメッシュ人口データであることが確認できる。適宜レイヤ名を変更しておく(レイヤ名変更の方法については[NA-GIS77]の手順(4)を参照)。
(4) バッファ分析を実行
<対象レイヤ>を<コンビニ>にした上で、<分析>→<バッファ>を選択。
<バッファ>ウィンドウの左上、<検索対象レイヤ>で<500mメッシュ人口>を選択。その下の<バッファ距離を設定して内部のオブジェクトを探索する>を選択。<バッファ距離>欄には「0.3」と入力。
右側の<出力項目>では、<含まれるオブジェクトの属性データ集計>にチェックを入れる。<集計データ項目>の中の<1:人口総数>を選択。そして、その下の<合計値>を選択。
以上で設定は完了。<OK>をクリックするとバッファ分析が開始される。<バッファの集計が終了しました。>というウィンドウが現れたら分析完了。
(5) バッファ分析結果の確認と地図化
[NA-GIS83]の手順(3)・(4)を参考にしながら、バッファ分析の結果を確認し、地図化を行う([NA-GIS83]との部分的な違いは適宜読み替えること)。ここでは、階級区分によるバッファ分析の地図化のみを行う。
[NA-GIS83]の手順(4)と同様にして<描画開始>をクリックすると、コンビニのポイントしか表示されないため、いくつか追加の操作を行う。
まず、MANDARA本体の画面に戻り、<表示記号設定>をクリックし、<サイズ>を小さめにして(1.5%程度)、<OK>をクリック。その後、地図を描画すると、コンビニのポイントが小さくなった。
次に、地図の描画ウィンドウで、<表示>→<ダミーオブジェクト・グループ変更>と進み、<ダミーオブジェクトグループ>内の<統計GIS小地域>にチェックを入れ、<OK>をクリック。以下のような地図が作成できた。(ここでいったん上書き保存)
(6) バッファ分析結果の地図とメッシュ地図の重ね合わせ
重ね合わせの方法については、[NA-GIS77]の手順(5)以下も参考にすること。
MANDARA本体の画面に戻り、上記の手順(5)が完了した状態で、<重ね合わせセット>ボタンをクリック。バッファ分析結果の地図が「重ね合わせデータセット1」にセットされた。
次に、対象レイヤを<500mメッシュ人口>に変更。人口総数の階級区分図の設定を行い、完了したら<重ね合わせセット>ボタンをクリック。500mメッシュ人口の階級区分図が「重ね合わせデータセット1」にセットされた。
<重ね合わせ表示>タブをクリックして画面を切り替え、<重ね合わせデータ>の枠内に2つのレイヤが入っていることを確認した上で、<描画開始>をクリック。
バッファ分析結果の地図と500mメッシュ人口の地図の重ね合わせ地図が表示された。(上の画像では、<オプション>→<線種ラインパターン設定>で<1/2メッシュ枠>の枠線を表示するように変更している。)
作業で使用したファイルの上書き保存を済ませたら、今回の作業はひとまず終了。ただし、[NA-GIS83]と同様、今回のバッファ分析のやり方、および、分析結果にも留意すべき点があります。それについては、次回説明します。
以下は、参考資料として、[NA-GIS83]と今回の分析結果の比較(参考1)、および、今回の分析結果に対する疑問(参考2)を載せています。
(参考1) バッファ分析結果の比較
[NA-GIS83]では町丁目・字単位の人口を用い、今回は500mメッシュ人口を用いて同じような分析を行いました。これら2つの分析結果を比較すると、以下の表のようになります(スペースと画像サイズの都合上、一部分のみ示しています)。
また、町丁目・字単位人口によるバッファ分析結果を横軸に、500mメッシュ人口によるバッファ分析結果を縦軸にして散布図を描くと、以下のようになります。
両者の結果が近似していれば、対角線上に点が分布するはずですが、実際には両者の結果にはかなり差があることがわかります。これにはいくつかの原因が考えられます(詳しくは次回)。
(参考2) 今回のバッファ分析に対する疑問
今回の分析結果を地図化したものをよく見ると、人口が多い地域にもかかわらず、バッファ分析の結果が欠損値になっているコンビニがいくつも存在していることに気づきます。
結果が欠損値ということは、店舗の半径300m圏内に含まれる人口はゼロということを表しているのですが、これは明らかにおかしいです。こうなった理由については次回説明するとして、敗因を一言でいえば「300mバッファで分析したから」でしょうね。うすうすそうなるだろうとは予測していましたが、[NA-GIS83]と比較する必要上しかたなかった・・・。バッファの距離を500m以上にすれば、このような結果にはならなかったと思います。